偽りの兄弟。病んでる?そうじゃないあたたかいBL「ここはやさしい庭」エンゾウ

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オトクにBLが読みたい!

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こんにちは!海ホタルです!!

私は、エンゾウ先生の、「マザーズスピリット」が大好きなんですが、エンゾウ先生といって真っ先に思い浮かべるのは、「ドラッグレス・セックス」

もう・・・「ドラッグレス・セックレス」は、とにかく、エロ描写がすごすぎて・・・

私にとっては、スゴイ!ショーゲキ!!作品だったんですよね・・・

エンゾウ先生の作品で一番好きなのは「マザーズスピリット」です!!といいながら、脳内には「ドラッグレス・セックレス」の描写がすぐ浮かぶって・・・

うわっ・・・やっぱり、わたし、ムッツリスケベな人間だったのかしら・・・って自分の奥底にある欲望について考えちゃいます!!

そして、そんなエンゾウ先生の作品が新刊で出たとあったら・・・

そりゃ、期待するのは、エロでしょ?(←やはり、むっつりスケベなようです・・・)

しかし!!

この「ここは、やさしい庭」は、とっても、シリアスで、いろいろ考えさせられる部分もある作品でした!!

こういうテイストを想像していなかったので、ちょっと、びっくりした!!!

引き出しが多い作家さんなんですねー!!

では、レビューに行ってみたいと思います

作品紹介

あらすじ・・・愛を知らず、家族も居場所もなかった男――ヒモ同然の生活で、女絡みのリンチを受け、気づくと見知らぬ男に介抱されていた。「兄ちゃんに心配かけるなよ、護――」薫と名乗る男は、なぜか自分を死んでしまった弟の護だと思い込んでいるらしい!? 戸惑いつつも薫と過ごす優しい時間で初めて自分の居場所のある安らぎを感じ、偽りの弟のまま薫のそばにいることを決意して!?

「ここは、やさしい庭」のここが面白い!

愛を知らずに育った男と、愛を失った男の物語

これはねー・・・看板に少々、偽りありでしょ!?

コミック裏にさー「偽兄弟の禁断LOVE」ってあるんだけど、禁断ではないです!!

もうさ・・・そんな煽りつけるから、“どエロ”だと勘違いするじゃん・・・(←そんな勘違いするのは、わたしだけ!?いや・・・みんな、したよね!?)

ズバリ!!どエロじゃありません!!

むっちゃ、シリアスで、愛の形についてい考えさせられる作品でした!!

主人公の暁良は、母親に虐待まがいのことをされ、施設で育ち、大人になり、ヒモ同然で日々を生きている男

たまたま、居座った女の彼氏にいちゃもんをつけられ、いざこざに巻き込まれ、血だらけで気を失い、倒れていたところを助けてくれたのが薫という男性なんです

暁良が目覚めた時、薫は、暁良のことを、自分の亡くなった弟の名前で呼びます

薫は弟・護として暁良に接してくるんですね

暁良は、「弟が死んだことが受けいられない哀れなやつ」と思いながら、同時に「なぜ?そんなに愛情を注げるのか?」と疑問に思います

弟のふりをすれば、その損得のない愛情を体感できるのではないかと、弟の護として薫の側にい続けることにするのです

しかし、母親から虐待まがいの育てられ方をした暁良には、薫のおせっかいで口うるさい愛情が次第に、うっとおしくなっていきます

「自分にも家族の情がわかるかもしれない」という希望があったのに、その希望を自分から捨て出て行く暁良

再び、面倒を見てくれる女の元へと向かうのですが、自分をアクセサリーのように扱う女の言動にも、嫌気が差し、その女の元も出ていきます

そして、行く宛もなくフラフラしていたところ、自分を探す薫の姿を見つけるんです・・・

その薫の必死な姿を見て、暁良は、再び薫の弟“護”として薫の家に帰ります

この時の暁良は、薫への同情のような気持ちと、あと、自分自身に取って向けられた感情でなくても、誰かに求められることの幸せを求めている気持ちが入り混じっているのですが

喧嘩することもあるけど、笑いあって過ごす薫との日々は、暁良の中に変化をもたらしていくんです

自分にとって必要な愛が目の前にあれば、選ぶべき!

そして、中盤から、風ゆきがかわっていきます

暁良のことを、自分の弟“護”だと思い家に置いていた薫は、頭のどこかで、暁良が“護”ではないとわかっているんです

薫の精神が完全に病んでいるもの。と思いながら読み進めていくのですが、そうじゃなことがわかります

薫の中でも、暁良が“護”ではないとわかっている部分と、そうでない部分が入り混じり、すごく混沌とした状態となってしまうんです。

この時の暁良は、もう、弟として側にいれるなら、自分の中に芽生えた薫への思いを秘めるつもりでいましたが、薫が、混沌とした状態から目覚めるんですね

無償の愛を与えあうのは、血のつながりのある家族間だけではないですよね・・・

母親から全く愛情をもらえなかった暁良が求めていた愛と、大切だった弟を亡くした薫が失った愛は同じ形のものとは思えないんですけど

でも、損得なしに愛せるって感情があって、それを注ぐ相手が家族ではない他人だとしたら、もう、それは恋というカテゴリーに入れてもいい愛になりますよね

心の中に寂しさを抱えた同士が、くっつき幸せになるっていう流れは、とても、夢と感動があると思います

あまりに美しい愛が描写されていて、このままエロがなくてもいいよーって思っちゃいました

エロについて書いておこう

でも!!ちゃんと!!エロがあるからね!!

どっちが受けになるかでちょっとだけ話し合っているシーンがあるんですけど、それは、すごいいいシーンだと思いました

相手が淹れたいって空気を出していたら、「いいよ」って言えるのが愛ですよねー・・・しみじみ・・・

激しさはない感じのエロです。

やさしくいたわる感じが、この作品には合っていると思います

まとめ

でも、暁良のお母さんも、暁良が生まれた時には、多少なりとも愛情があったんじゃないかなって「暁良」って漢字を見て思うのは私だけ?

深読みし過ぎかな?

このふたりは、これからも、この家で愛を育んでいくんだと思います

そういう、ひっそりとした、やさしい愛が詰まっている作品です

心にグッとくる静かでやさしい物語を読みたい人におすすめです

こちらの作品は、電子化の予定を調べましたが、わかりませんでした。(ごめんなさい・・・もし、知っている方がいたら教えてください)

早く電子化されて、多くの人に読んでほしいなーって思います

【追記】電子化されました

「マザーズスピリット」続編がスタートしています

もう一回、言うけどさ・・・

わたしが、エンゾウ先生の作品で一番好きなのは「マザーズスピリット」だからね!!(決して、「ドラッグレス・セックレス」ではない・・・はず・・・)

んで、うれしいことに、「マザーススピリット」の続編が「Chara Selection 2018年1月号」でスタートしています!

Chara Selection 2018年1月号

Chara Selection 2018年1月号

ぜひ!!試し読みをチェックしてって言いたいけど、試し読みに、「マザーズスピリット」がなかったです・・・ガーーーン!!

また、機会があれば、ぜひ、手にとってみてくださいね!!

ではでは!!

最後までおつきあいいただきありがとうございました、こういう、シリアスで重い作品は、レビューが書きづらいです・・・つい、言葉を重ねてちゃいますよね・・・もっと、いろんな思いが詰まっているんですけど、それの言語化が難しいです。久々に、しんみりくるBLコミックを読んだなって感じでした

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