その数字の意味を知った時、涙腺決壊しました「2119 9 29」凪良 ゆう

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オトクにBLが読みたい!

αの花嫁 共鳴恋情 1【コミックス版】

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本日のレビューは一部ネタバレ要素を含みます。ネタバレNGな方は、ここで戻るボタンをお願いします。

こんにちは!!海ホタルです!!凪良ゆう先生の新刊「2119 9 29」が発売されました!!

2015年に発売された「ショートケーキの苺にはさわらないで 」で主人公達を親身になり支えた安倍ちゃんが主人公になっています。

安倍ちゃんは、すごくいいやつなんですよ!!オタク用語で喋るオタクの中のオタクなんだけど、友情に熱く、自分の中の正義を貫く勇気を持っていて、それでいて思いやりに満ちているデブなんです。

だからさ!!わたしもすごく好きなキャラクターだったんですけど・・・・

たださ・・・・

デブなんだよ・・・・?

私の中の、ロマンスの神様が言うわけ!!「デブを主人公にさせるって難しんじゃない?」

いや!!わたし、リアルにおいてはそういう偏見はない人なんですけど!!

でも、やっぱり、小説やマンガの中では夢を見たい人なんでね!!

だからさ・・・そこの部分がすごく心配だった!!

けど、読んでみたら、高血圧、高脂血症ぎみだった安倍ちゃんは、ついにお医者様から「このままだと死んじゃうよ」って言われて、ダイエットしていた!!

おおおーー!!えらいぞ!!安倍ちゃん!!ダイエット、辛かっただろう!!

でも、痩せたからと言って、実は美少年でしたってオチはない!!

痩せても、阿部ちゃんは阿部ちゃん。オタクのままで、オタク用語を喋るクオリティは変わらないまま・・・

そんな、安倍ちゃんが、美人な伴侶を見つけ、命尽きるまで一緒に過ごした時間を描いた今作品は、ほんとに読み応えがあった。

安倍ちゃんの、思いやりに満ちたやさしさと行動力の数々にとても感動しました

では、感想に行ってみよう!

 

作品紹介

登場人物&あらすじ

:阿部孝嗣・・・実家のレストランを手伝うオタク用語を喋るシェフ
:高嶺・・・常連客が阿部に預けたアンドロイド「ドール」。意地っ張りな美人

 

人間に尽くす精巧なアンドロイド”ドール”との結婚という阿部 孝嗣の夢は、人を模したドールの製造が禁止された大学時代に潰えた。けれど三十八歳になった今も愛は変わらず、独身でDTを貫いている。ある日、阿部は家業のレストランの常連客から、存在自体が罪となる美しい裏ドールを託される。彼の名は高嶺。無愛想で反抗的というドールにあるまじき彼の態度を不思議に思いながらも、憧れの存在との同居生活に阿部は胸をときめかせるが――。

引用:アマゾンより

 

「2119 9 29」のここが面白い

「ショートケーキの苺にはさわらないで」未読の方に・・・この小説の時代背景を軽くご説明

人そっくりの容貌を持ち高度なコミュニケーション能力を持つ「ドール」と呼ばれる高性能アンドロイドが存在する近未来が舞台となっています。

人の容貌を模しているんだけど、人間よりもずっと美しい容姿を持つアンドロイド達は、人間には逆らえないようにプログラミングされており、自分の持ち主であるマスターの喜びは自分の喜びのように感じるよう作られています。

「ドール」の献身愛がプログラミングされたゆえの行動や発言であっても、それを本物の愛情として感じる人達がいて、アンドロイドである彼らを家族のように・・恋人のように愛する人達が多くいる時代なんです。

けれど、この小説の主人公である安倍ちゃんが大学在学中に他国との戦争が起こるのね。

そして、人間の代わりに、家庭で使われていた「ドール」達が徴収されてしまうのです。

埋め込まれている記憶チップさえ抜けば、マスターと過ごした日々を忘れてしまい戦闘用のアンドロイドになってしまう事実は本当に読んでてつらい・・・

そして、戦争が終わってからは、日本は、アンドロイドの製造技術は優れているけど、人間の容貌を真似た「ドール」の製造は禁止され、もし所有していることがバレれば刑罰が与えられる法律までもができてしまいます。

そんな時代に、阿部ちゃんは、中学生の時から恋い焦がれていたドールをお店の常連さんから預かってしまうことから、この物語は始まるのです

 

安倍ちゃんは心が大きい。やさしさで満ちている。

レストランを営むおおらかな両親に育てられ、ふくよかに育った明るい性格の安倍ちゃんがその美しいアンドロイドと出会ったのは中学生の時。

天使のように美しい容姿と優しさを持つそのドールは「美優シリーズ」といい、阿部ちゃんは、大人になったら「美優」を手に入れ、結婚することを誓うんだけど、戦後、美しい容姿のドールを所持することは禁じられてしまう・・・

愛する美優と家庭を築くという夢は絶たれるものの、美優の代わりはこの世には居ないと、38歳になった今では、このまま結婚せず、美優に操をたてたまま死んでいくものと安倍ちゃんは思っているの。

うう・・・さすが安倍ちゃん・・・オタク・・・・自分の好きなものへの愛はどんなことがあっても揺るぎないクオリティ・・・

そんな安倍ちゃんが、美しいドールを預かることになり、一緒に暮らすことになるのだけど、優しい天使のような美優とは違い、そのドールが、とんでもなく無愛想で反抗的でツンツンしているドールだったの。

でも、阿部ちゃんは、そんな態度の悪いドールの言葉尻や表情の中からでも、ちゃんと、彼が時々見せるかわいさに気づくのです。そして、彼の持つ人間への不信感を感じ取り、怖がらせないようにと一生懸命、大事にしてあげるのね。

そして、高嶺には、戦争前に彼を大事にしてくれたマスターがいた事を知り、そのマスターを探し当ててくれるんです。

うううう・・・やっぱり、阿部ちゃん、むっちゃいいやつや・・・もう、このときには、ほのかに高嶺のことが好きになってきているのに・・・

なんか、もう、ほんとに最初から最後まで安倍ちゃんが、いい人すぎるんです。

初対面から失礼で無愛想な高嶺の態度の中に、彼の良さを見出す時点で、人としての器のでかさがわかる。

やさしくて思いやりがあって、ひたすらドールに尽くす姿は、オタク用語を喋ろうとも頼もしくかっこいいんです!

 

無愛想でクールなアンドロイドの高嶺

彼のもつ過去は複雑すぎて、複雑すぎるがゆえにこんなにも、より人間に近い感情を持つようになったのかな?って思いました。

高嶺自身も、自分の感情が「心」なのか「システム」なのかわからないんです。

でも、安倍ちゃんが、「心」であることを肯定してくれた。

それが正解であるかどうかなんてことよりも、自分にとって大事な安倍ちゃんがそう言うなら、きっとそうなのだと思うシーンは、グッときます。

安倍ちゃんと出会った当初、人間に対し不信感を募らせていた高嶺は、ほんとに、可愛げがなかった!!(そんな高嶺でも、阿部ちゃんは、かわいい!と言っていましたが・・・)

けど、安倍ちゃんと過ごすことで、少しづつ、変化が現れ、安倍ちゃんに甘えるような仕草までするようになる。

その変化の描き方が、ほんと、絶妙というか・・・ムリクリ感がなく、素直に私の中で受け入れられました。

ほんと、こういう変化の描き方が、凪良先生はお上手ですね。

「ドールは人間と同じもの」として考える安倍ちゃんと、「自分は所詮“物”でしかない。早く壊れてしまいたい」と願っている高嶺との間で繰り広げる会話の数々に、時々、ハッとさせられるセリフが散りばめられていて、考えさせられる部分も多い作品だったと思います。

 

何度読んでも号泣!!ラストの「エピソード」

凪良先生、この「死が二人を分かつまで」ってラストがお好きですよね~。って思っちゃうんですけど、でも、やっぱり、何度読んでも、こういうラストに私は弱い・・・

実は私自身が、自分しか愛せないタイプの寂しい人間なんです。

だから、こういう与えることが自分の幸せだっていうカップルには、もともと弱い。そして、そういうカップルたちが、共に最後までいる姿は、私にとっては理想そのものであり、同時に叶わない夢のようなものなんです。

わたしは、読後、ずっと、考えています。

安倍ちゃんが最後の最後に思ったことはなんだったんだろう?って・・・

愛する者を残す不安はなかったのか・・・これだけ愛であふれた心はどこに行くんだろうとか・・・

「2119 9 29」の持つ意味を最後の最後に知って、これまた号泣・・・

アンドロイドの高嶺が安倍ちゃんの死後どうなったかは、ぜひ、小説を手にとって確認してほしいです。

ほんとうに、充足感あふれるすばらしいラストだったと思います。

すばらしい感動をありがとう・・・って気持ちでいっぱいです。

 

まとめ

ショートケーキの苺にはさわらないで (ショコラ文庫)」とリンクしている部分があるので、ぜひ、そちらが未読の方は、「ショートケーキの苺にはさわらないで」を読んでから、読んでほしい作品です。

AIものとあって、いろんな賛否両論のご意見があるようなのですが、現時点では、まだ、ファンタジーなので、あまり深い部分はつっこまずに楽しめばいいのではないかと思います。

けど、実は、アンドロイドの開発って、むちゃくちゃ進んでいて、今の子供達が大人になる頃は、本当にこういう時代がくるかもしれないな・・・とも、ちょっと思っています。

近い将来はファンタジーじゃなくなるかも・・・って、そういう今だからこそ楽しめる部分を堪能できました。

凪良先生の作品は愛を押し付けてこないのがいいですよね。登場人物が、愛に溢れていたり、愛を信じられない人は愛を信じられるようになる流れがいつもすばらしいと思います。

次回作にも期待したいですね。

 

本日の記事はいかがだしたか?感想を書くに当たり、何度も読み直しをしましたが、読み直す度に号泣してしまい、筆がなかなか進まず大変でした・・・きっと、これからも何度読んでも、飽きること無く泣いちゃう作品だと思います。

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