「俺の為にセックス覚えたんだろ?」という・・・
なんとも卑猥さを予感させる帯のセリフとは裏腹にさびしさと甘さを含んだ画が印象的な「トライワイト」
西本ろう先生の初コミックです
1冊まるっと表題作となっています
表紙には「俺様ホスト✕地味健気」とありますが、物語はふたりが高校生時代からスタートしています
ちょっと切なくて・・・ちょっと痛くて・・・それでいて、最後はじわりと胸が熱くなる・・・そんな気持ちが味わえるBLコミックとなっています
では!紹介にいってみましょう!!
作品紹介
家にも学校にも居場所がなく、いつも一人で過ごしている高校生の陽平。
そんな時、同級生でサッカー部エース・稜と出会い、二人は次第に惹かれ合うが…。
ある事件を機に、二人の関係は大きく変化してしまう事に。
それは、数年に及ぶ歪んだ純愛の始まりだった――。
明るくキラキラした高校生時代・・・運命を変える事故
攻めはサッカーのインターハイを期待された前向きで芯があるやんちゃな高校生
受けは、家にも学校にも居場所がないちょっとおっとりした泣き虫な高校生です
同じカテゴリーに所属しないふたりですが、ある日、攻めである稜が蹴ったボールが、教室にいた受けの陽平に当たってしまうんです
出会った頃のふたりは高校生らしくて・・・とてもキラキラしています
「友だちがいない」という陽平を巻き込んで、先生にいたずらしたり、かき集めたお金でたったひとつのパンを買って一緒に食べたり・・・
自分の居場所がなくてうつむいていたばかりの陽平は、明るくてパワフルな稜のそばにいることを心地いいものに感じます
そして稜も、不幸な境遇から自己肯定感の低い陽平に笑ってほしいんですね
けれど・・・
陽平が、友達への気持ちと恋心の境界線がわからなくなった時に、事故が起こるんです
第三者のつまらない嫉妬をきっかけに、狂いだした二人の運命・・・
事故で足に大怪我を負った稜
その事故の原因を作ってしまった陽平
稜はインターハイの夢を叶えることができず、陽平は稜に怪我を負わせた負い目を背負うことになるのです
こうして、一度掛け違えボタンのように、いびつな関係がスタートするのです
ゆがみはじめた稜の愛を救えるのは・・・
稜は歩けなくなったわけじゃないけどリハビリが必要な身体となります
しかし、稜自身は、どうしてもインターハイに出たかったってわけじゃないんです
それしかなかったからそれを目指したって感じなのです
だから、インターハイに出れなかったことよりも胸を占めるのは陽平のことばかりで・・・
怪我を負った稜は、「ちゃんと責任とれよ」と陽平に自分の面倒を見るように命令をします
でも・・・それは、家に居場所のなかった稜に、安心できる場所を与えたかったからなんですね
しかし稜のそんな気持ちなど、陽平には届かず・・・ここから陽平はひたすら献身的に稜に尽くすこととなるのです
それこそ、夜の性処理まで・・・
そして、なんでも自分のことを第一優先にする陽平をみていると、稜の中で、自分だけが陽平を救える人間なんだという満足感が生まれてくるのです
もともと、雄感が強くて支配欲や独占欲が強いタイプだった稜の愛がゆがみ始めます
救いは、稜の命令を聞いて「セックス」もするようになった陽平が、心底、稜のことを心配しているところです
とにかく献身的に一途に稜に尽くす陽平の姿には「ムリヤリさせられている感」がありません
そこには陽平なりに稜への深い愛があるんですね
いびつに歪んでしまった稜の愛を事故の前のキラキラした愛に戻す方法は・・・・
読んだら・・・稜の歪な愛の魔法が解けた瞬間の涙にきっと感動すると思います
海ホタルの感想
なにがよかったって・・・稜の悪い顔ですよね・・・
陽平を自分の思いがままにできることに満足しているときの悪い顔がたまりません!
なのに・・・むちゃくちゃ陽平のことが好きなんですよー!!
そこらへんの微妙な心理描写がむちゃくちゃ絶妙なバランスで描かれているのが、ほんとにすごくよかったです
あと、気持ちが通じ合った後の甘エロね!!
気持ちが通じ合う前は、陽平は「稜の性欲処理」っていう意味合いでエロをしています
けれど、気持ちが通じ合った途端、一方的に喘がされる側に~!!
やっぱり!気持ちが通じ合うってとっても大事なことだよね!!
ほんと、読み応えのある一冊だったと思います
画はちょっと雄々しいタイプ?
そこがこの作家さんの持ついい持ち味なんですけど、好きな人とちょっと苦手な人が分かれそうかな?
ぜひ!画は試し読みで確認してくださいね!
でもでも!!つらさの後に大きなハピエンがくるBLが好きな方は絶対に読んでほしい作品です
わたしも連載中から追いかけていましたが、「これはすごい新人さんがでてきたな」と思っていました
描き下ろしは、16Pです
陽平のお祖父さんのところにお墓参りにいく幸せなふたりが拝めます
読者サービスもぬかりがありませんよー!!
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