こんにちは!海ホタルです
本日は赤河左岸先生の新刊「果ての荒野でバカンスを」の紹介です
表紙を見ると宇宙服を着た男性が描かれいて、あらすじを読むと「惑星開拓」や「AI」などの文字が!
近未来SFみたいなBLかな~?と読んでみたら・・・
3作品収録の短編集でした!
どのお話も、せつない系のおとぎ話風!
でも、読後にあたたかい感動がひろがります
古めかしいファンタジーものから現代、未来SFものまでテイストが多岐にわたっているので、おもしろくて一気に読んじゃいました!
では!紹介に行ってみましょう
目次
作品紹介
惑星開拓の任務についているシンは、毎日、地球にいる友人で技術者のルキヤに定期報告をしている。
夜ごと、ルキヤを想ってAIとの擬似行為をする自分に自嘲しながら、想いを伝える日を待ち望んでいた。
赴任して3回目の誕生日、ついに地球へ帰還する日を迎えて――。他、森の奥深くに住む美しい青年と子どものBLおとぎ話「ふたりぼっちのエバーアフター」、
好意が気持ち悪い“蛙化現象”の青年の恋を描く「蛙の王子様」も収録した、静かに、だけど心に届く長編読み切り集!
「果ての荒野でバカンスを」のここが面白い
ふたりぼっちのエバーアフター
ヨーロッパの古い田舎にありそうな森の中で暮らす青年と少年のお話です
物語の最初の方で、青年が少年に「怪物に育てられた赤ん坊」のおとぎ話をするのですが、察しのいい読者であれば、これは、この青年と少年の話だなってピンとくる!
だから、ある程度、話の予測がつくのですが!
まあ!なにがいいって、キャラクターの表情やついつい物語に引き込まれる不思議な空気感!
おとぎ話ちっくな美しい絵とは裏腹に、繰り広げられる少年の邪な感情と古い記憶の断片の謎!
そして、少年は青年に成長し、自分を育ててくれた美しい青年の秘密を知ってしまい!?
そこにあったのは、「絶望」と「永遠の愛」!
愛した人と永遠にいたい・・・
望むだけなら「尊い愛」だけど、叶ったとたんに「呪い」になる?
短いながらに読み応えのある作品でした!
蛙の王子さま
これは、一気に雰囲気が変わって現代の高校生が主人公!
このうえなく美しい顔で生まれた西野
友達だけでなく親でさえも西野の価値は「顔」だけだ!と言わんばかりに、西野の内面には目を向けてくれない
だから、西野は、自分の美しい顔がこのうえなく嫌いで、「顔が好き」なんて言われたら気持ち悪くて吐いちゃう!
そんな彼が、人の美醜には興味がない昆虫マニアの飯田と出会う
飯田は、西野の顔を見ても「君の顔よりユキヒョウの瞳や、オオミズアオの翅の方が美しい」って言い
「そんなこと言ってくれた人ははじめてだ!」と西野は飯田になつくようになるのです
クラスでも「変人」扱いされている飯田
そんな飯田のいいところを知っていくうちに西野は飯田に惹かれていきますが
もし・・・飯田が自分のことを好意ある目で見てきたら・・・また吐いちゃうんじゃないか?って不安になっちゃうんですね!
このお話もすっごいよかったんですけど・・・
作中では、西野の気持ちを代弁するおとぎ話として「美女と野獣」のお話が何度かでてきているんですよね?
だから、なんでタイトルが「蛙の王子さま」なのかがハテナ?
まあ・・・「蛙の王子さま」も、人の美醜に関するおとぎ話なんだけどさ!
でも、あの「蛙の王子さま」の姫は、けっこうひどくなかったっけ?
醜い蛙を壁にたたきつけていたよね?
わたしの記憶違い?
調べたら、醜い蛙にキスをして魔法が解けるっていうバージョンの「蛙の王子さま」があるみたい
はあ・・・そうなのね~!
果ての荒野でバカンスを
こちらが表題作です!
これは!むちゃくちゃよかった!!
惑星開拓の任務についているシンは宇宙でひとり孤独な日々を送っている
一日一度、地球にいる愛しいルキアに定期報告を入れ、この任務が終わったら、これをしよう。あれをしよう。とルキアと未来を話すのがをすごく楽しみにしている
でも、若い独身男性ですので!
ムラムラする気持ちもわくので!
ルキアが作っていくれたキューブ型のAIに、ルキアの姿を模するように命令し、夜な夜なエッチなことをしているのです
もちろん地球にいる本物のルキアは、シンが、AIにルキアの格好をさせそんなエッチなことにふけっていることは知らない
なのに、シンがAIにルキアの姿になるよう命令する時間はどんどん増えていく!
これ・・・AIであるルキアの方にかなり心奪われているんじゃないの?とハラハラしていく展開が面白かったです
最後には、「え?!」と思う展開も用意され、さらに、これをハピエンと言っていいのかどうかわからない読後感を味わえる
読む人によってはモヤモヤが残るかもしれない
けど、わたしは、最後、ふたりで歩くシーンを見たら、胸にじーんってくるものがあって・・・
とても素敵なお話だと思いました
このふたりの10年後・・・20年後を想像すると胸が痛くなるけどね!
エロはどんな感じなの?
エロ重視の作品ではありません
さらりと匂わせ程度です
海ホタルの感想まとめ
BLおとぎ話って感じで楽しめる1冊です
どのお話も世界観が美しいし、見せ方がむちゃくちゃ巧い!
描きおろしの「エンドロールで」は、「果ての荒野でバカンスを」のふたりが描かれていますが
最後にシンがいう「おまえじゃないよ」って一言には泣きましたねー・・・
この時、シンはなにも知らないからさ・・・
せつない一言だなー・・・って、うるうるってきた
そういう感じで、どのお話も、胸にじーんってくるセリフが投下されるのもよかったですね
とっても読み応えのある1冊だと思います!おすすめです!