こんにちは!!海ホタルです!!
わたし、ためこう先生の絵が猛烈に好きで、いわゆる作家買いしている作家先生のひとりなんですが、先日、出た新刊「旧繁華街袋小路」は、すぐにレビューがかけなくて、読後、いろいろ考察しちゃいました。
あらすじを読んだらおおまかなストーリーはわかると思うんですけど、姉とよく似た弟が、姉の死後、姉の恋人と関係を重ねていくというものです。
それだけ読んだら、背徳感まみれのBLを想像しがちなんですけど、読んでみると、どうも、違う・・・
この主人公の無茶苦茶でいて危なげな感じはなんなんだろう?
本日は、わたしの考察をメインに、このコミックの感想を書かせてもらいます。
興味のある方は、ぜひ、このまま読み進めてくださいね!!
目次
作品紹介
「旧繁華街袋小路」のここが面白い
考察1:なずなが松葉のことを意識しだした瞬間を考える!
死んだ姉によく似た女顔のなずな。愛する女性の死後、その弟と、体の関係を持ってしまう松葉
あらすじには、体を重ねる関係になったことで、恋心に変化したかのように書かれているんだけど、果たして、本当にそうなのかな?
姉の死後を描く時間軸と、姉が生きていた頃の幸せだった3人の思い出が交互に描かれているんだけど、回想では、松葉とせりな(なずな姉)は、本当に素敵なカップルとして描かれている。
かわいいルックスに明るくサバサバした性格のなずなの姉のせりな
松葉は、そんなせりなのことが好きで好きで、お祭りの夜にプロポーズしている。
この時、真面目で純朴な松葉は、後ろから近寄ってきたなずなをせりなと間違えて、なずなの手をギュッと握り、緊張で顔を見ることができないまま告白をしちゃうんだよね。
その時、手を握られたなずなの目がとても印象的なんです。
わたしが思うに、たぶん、なずなは、このお祭りの夜、松葉のことを意識し始めていたと思うんだよね。
なぜなら、この失敗したプロポーズの後、なずなのフォーカスは、大好きな姉ではなく、松葉に当たりはじめるんだよ。
そして、愛おしそうに姉を見る松葉をなんと表現していいかわからない表情で見るようになる。
もし、せりなが事故に合うこと無く、松葉とせりなが結婚していたら、なずなは、きっと、松葉のようにやさしい眼差しで愛してくれる人を探し続けることになったんじゃないかな?
理想の恋人像が姉の恋人。恋と呼ぶには淡くて、でも片思いにも似た感情。
そういう気持ちが根底にあったと考えると、姉の身代わりとして松葉に抱かれに行った日のなずなの切羽詰まった表情で放つ「やり方がわかんない」のセリフが一層、重く切ないものに思えます。
考察2:死んだ恋人によく似た弟を抱く攻めについて
あらすじだけ読むと、死んだ恋人によく似た恋人の弟を抱く攻めの松葉は、むちゃくちゃ嫌なヤツだと思うかもしれませんが、実は、むっちゃ、いい人です。
せりなの死後、いきなり松葉に覆いかぶさってきたなずなにも「どうしたんだ お前 やめろ」と言って、なずなの無茶の行動を制止しようとしています。
でも、その時の、なずなの切羽詰まった表情を見て、なずなを受け入れるんですよね。
自分の欲のために抱くんじゃなくて、相手を満たすために抱くってエチなんです。
なずなは、「私 あの人の忘れられたくないの」という姉の最後の願い叶えるため、自分が抱かれることで松葉の心を姉に繋ぎ止めているつもりだったんだけど、その行為は、松葉にとっては、なずなを救うための行為だったんですよ・・・
そして、松葉が罪悪感を抱かないよう、お金をもらうことでギブアンドテイクの関係にしたなずなのやさしさにもちゃんと気づいてくれている
好きな人を失ったふたりが、共にその喪失感をお互いの存在で埋めていく流れの中で、愛が生まれることってあると思う。
そして、松葉がなずなのことを、好きになったのは、なずなの持つ無防備さや不安定さ。彼の持つかわいい性格なのだと思います。
絶対に、顔じゃない!!と思う・・・
松葉は、とってもいい攻めだと思います。こういう男性を好きになった、せりなとなずなは、とっても男性を見る目があると思うんだけど、どうかな?
考察3:松葉以外の男性と関係を持つ理由
これがね・・・実は、考えても・・・考えても・・・ほんと、わからなくって?
なずなは、死んだせりなに片思いをしていたモブ男性に街で声をかけられ、そのまま、体の関係を許しちゃうんですよね。
この時、なずなは、松葉への思いを拗らせきっていて、ある意味、自暴自棄にもなっている状態で、この行為があったからこそ、松葉がどんなに自分を大事に抱いてくれていたかを知るんですが、このモブ男性の登場が、ほんと、唐突なんですよ?
会話から考えると、なずなの中で、せりなの残した「あの人に忘れられたくない」って最後の言葉が、「自分を求めてくれる人すべてに忘れられたくない」にすり替わっている気がします。
松葉への思いを拗らせすぎて、そうすり替わっちゃったんですかね?
でも、このモブが出てくることで、一気に二人の関係が縮まるから、要素としては必要だったのかな?
2年もの時間をかけて描かれた作品なので、描いている間に作者様の思惑がズレてきたりすることもあるとここは受け止めました。
同時収録「悪い生徒」「種田くんと付き合いたい」
「悪い生徒」
こちらは、ちょっとほの暗さがある病み系ですね。明るくハピエンがお好きな方は、ちょっとザラリとした読後感が残るかも・・・
先生✕生徒です。
体先行型で、愛は見えないって感じの短編です。
「種田くんと付き合いたい」
これは、アンソロの女子BLに収録されていたお話だそうで、女子視点が入っているお話です。
クラスで明るくイケメンで人気者の種田くん。その種田くんには不釣り合いなオドオドしてる友人の有馬くん。
でも、種田くんのファンの女の子が、その二人の関係の一片を見たことで、人気者の種田くんのもうひとつの悪い顔に気づいちゃうってお話です。
どちらの短編も、表題作とは別のテイスト。病み系、ダーク系がお好きな人にはたまらない短編だと思います。
まとめ
この「旧繁華街袋小路」の面白さは、たぶん、どこまで主人公たちに共感できるかによって、感想が大きく分かれるBLコミックだと思います。
わたしは、「こう考察するよ」って内容を本日は書きましたが、きっと、読む人によって、全然、違うものとして読んじゃうと思う。
でも、どちらが正解とかってないと思うんですよ。そういう、引き出しを開けきっていない感じの描き方が、この作品の面白さなんだと思います。
描きおろしは、とってもよかったです!もう、なずなが完全にヨメ状態で、ヨメBL好きとしては、ムフフと楽しめました。
1冊で切なさと、ダークさ(←短編の方ね!!)を楽しめるBLコミックです。
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