こんにちは!海ホタルです
カシオ先生は、作品によって、明るいコミカル作品だったり、ダークな作品だったりと引き出しが多い作家さんなのですが
わたくし・・・カシオ先生の「心を殺す方法」というダーク寄りな作品がとっても苦手でして・・・
カシオ先生のコミカル作品はすごく好きなんですけどね~
で!!
今回の新刊「ディレッタント」
どうもダーク寄り作品らしくって・・・
口コミを読んでも「“心を殺す方法”と比べて・・・」って文字がたくさんある!!
どうしようかな~って悩んだ末に読んでみました
どんな作品なのか紹介したいと思います
目次
作品紹介
<身分違いの三角関係>別世界の人間。けれど出会ってしまった。
清掃員の神崎は、大学生の夏原と出会い恋に落ちた。
とっさに自分も学生だと嘘をついて親しくなるが、夏原には絶対的な恋人がいた――大企業の御曹司・真崎鉄馬だ。
冷酷な鉄馬に蹂躙される夏原を助けたいと願う神崎だが、情事を覗いていたことがバレて夏原に軽蔑されてしまう。
夏原には嫌われたまま、神崎は鉄馬の紹介で真崎家の別荘の住み込みバイトを始める。
そこへ、鉄馬が何も知らない夏原を連れてやってきて……。その夏、全員の運命を変える事件が起こる――。貧乏ニセ学生vsサイコパス御曹司×恋人の大学生、秘密と嘘にまみれたサスペンスBL!
「ディレッタント」のここが面白い
【あらすじ】殺人?弱みを握ったことで立場逆転?ハラハラ展開
下巻のあらすじにあるので書いちゃいますが、貧乏で恵まれない主人公が、お金持ちで傲慢な俺さまなクズ男と入れ替わり、そのお金持ち男が持っていた恋人や立場を奪うという展開です
ちなみに・・・傲慢な俺様クズ男をやっつける的なスカッとした展開ではありません
このお話には主人公の神崎
神崎が恋をした夏原
夏原のことを暴力的に支配している鉄馬
この3人が登場します
神崎は清掃員として働いているのに、大学生の夏原に恋をし、夏原と同じ大学生だとつい嘘をついてしまう
さらに、夏原が鉄馬に乱暴されながら抱かれているところを見てしまい
夏原を鉄馬の暴力から助けたいという気持ちでいっぱいになる
そんな神崎の気持ちを見透かして、わざと神崎の恋心を弄んでくる鉄馬
鉄馬にとって、神崎の夏原への恋心は、滑稽な刺激材料でしかない
夏原に恋をしている神崎は、鉄馬の言葉に振り回されます
しかし、ある日、鉄馬が、夏原相手に首絞めプレイをし、ぐったりとなった夏原が死んでしまったと勘違いしたことでその関係に変化が訪れる
夏原の死体処理を神崎に頼む鉄馬
鉄馬の弱みを握ることとなった神崎
生まれも育ちも負け犬でまともな就職につくこともできなかった神崎が、鉄馬の弱みを握ったことで、人生大逆転のチャンスが訪れる・・・
しかし・・・実は、夏原は生きていて!
神崎は、鉄馬に、死体は埋めたと報告するが・・・
鉄馬に恋をしている夏原の目を覚まそうと夏原を監禁しちゃうのです
神崎の恋は叶うのか?
鉄馬に夏原が生きているとバレたらどうなるのか?
ハラハラする展開にあっという間に最後まで読んじゃいました
みじめでかわいそうな神崎の歪んだ執着愛に注目したい
子供の頃から家庭の事情で学校も通えなかった神崎
まともな職につくこともできず、貧しく惨めな生活を送っている
そんな神崎に、にこって笑いかけてくれた夏原
鉄馬に恋をしている夏原の目を覚まそうと必死になればなるほど、夏原にドン引きされる神崎
これ以上は嘘を重ねられないと、夏原や鉄馬たちから離れようとしたこともあったけれど・・・どうしても離れることができない
そして・・・
夏原が手に入る展開がやってきて!
監禁しちゃう神崎は、心の底から、鉄馬みたいなクズ男に恋をしている夏原の目を覚ましたいと思っている
やり方は犯罪レベルだけど・・・神崎の必死さがなんとも心痛い展開です
ちょっと暴力的なシーンもあるんですが・・・
このシーンも、おとなしし神崎の心の底にあった怒りが表現されているように見えてつらかった!
そして・・・
夏原の心が動き、神崎の愛を受け入れた時・・・・
神崎は執拗に夏原のことを執拗に抱き続けるんですねー
このシーンも、人生ではじめて、誰かに受け入れてもらったという神崎の気持ちが伝わってきてつらいシーンでした
神崎という男のみじめな人生・・・お金持ちである鉄馬と入れ替わるチャンスがやってきて、それを手にしちゃうのは仕方ないような気がします
出てくる登場人物みんな歪んでいる
ここまでの話を読むと、鉄馬だけが悪者のような感じるかもしれませんが・・・
鉄馬に恋をしている夏原もどこか歪んでいるし、そんな夏原に恋をした神崎も、実は歪んでいるんです
ちらほらとそれがわかる描写が挟まれるので・・・先がわからないハラハラ感がずっとありました
そこも面白かったです
海ホタルの感想まとめ
どんな犯罪にも、小さな綻びがあると思うのですが・・・(←この世には完全犯罪はないですよね!)
その綻びに夏原が気づいたところで終わっているので、ちょっとすっきりしないラストです
しかし、この作品は・・・
ラストの続きの展開は読者にゆだねますってタイプの作品なんだろうと思いましたので、続きを妄想して、脳内で勝手にハピエンにさせてもらいました
個人的には、夏原の気持ちが神崎に動くシーンが好きですね
夏原が受け入れてくれた!と感動する神崎
でも、受け入れてもらっただけで十分だ・・・と夏原の監禁を解く
こんなに夏原のことが好きなのに・・・
それでも夏原のことを縛り付けない神崎の愛に感動しました
そして、作中で、いくつもの嘘をつく神崎
すべてを正直に話す機会もあったのに、なぜか、うまい具合に逃げ道ができてしまう
その時は、嘘をつき続けるチャンスにしがみつくけど・・・・
結局は、何年も嘘をつき続ける苦しみを背負うことになる
なんか・・・もう・・・いろいろと切ないですよね・・・・
この作品の中で幸せになった人っているのかな?って気もするんですが・・・・
でも・・・夏原の気持ちを手に入れることができた神崎は幸せだったんだろうなって思いたいです
読む人によって・・・
誰の視点で読むかによって、感想が変わってくる作品です
ぜひ、試し読みからチェックしてみて!