キタハラリイ先生の新刊が電子配信されています
作者買いしました
今回の新刊は短編が3つ入っているんですけど、テーマは「魔女」
男なのに「魔女」?と思わず首を傾けたくなりましたが、これがなかなか・・・
ふわりとしたストーリーに美しい絵が織りなすノスタルジックさがすばらしく、奇妙でいて不思議な読後感が味わえます
ほっこり温かい気持ちになれる作品もあれば、読後感がざわりとする作品もあり読み応えのある1冊となっています
では紹介にいってみましょー
目次
作品紹介
物心つく前からの幼馴染である結と綾。
高校生になっても側にいることが日常なふたりだったが、結の祖母が亡くなった日を境に世界が一変。
結の髪色が変化し、感情を高ぶらせる度に不思議な現象が起こり、人には持ちえない能力も開花し始め、結が“普通”ではなくなってしまい――。【花】【記憶】【海】の魔女がテーマのミステリアスな3部作。
儚くも美しく紡がれる
キタハラリイ、待望の豪華トリロジー集
大切によみたい珠玉の物語たちがここに。
※トリロジーとは、三部作(さんぶさく)のこと。三つにそれぞれ分かれていながら、同じ一つの主題を持つ作品群のこと。
「花咲みの魔女に告ぐ」 のここが面白い
表題作「花咲みの魔女に告ぐ」
たったひとりの肉親であった祖母のお葬式の日・・・
つらくてぽろぽろ泣いていたら黒髪が突如として金髪になってしまった結
金髪になって泣く姿の結がもう本当にきれいで・・・
(この姿を試し読みで見て即買いしちゃいましたよー)
この結が「魔女」なわけです
祖母が死んだと同時に祖母の力を引き継ぎ、魔女として覚醒してしまったんですね
黒かった髪がいきなり金髪になって驚いたのはその時側にいた幼馴染の綾ちゃん
「実は魔女なんだ」と告白されて、目が点になっている幼馴染の綾ちゃんの顔がすっごく間抜けで笑えます
「魔女」として覚醒してしまった結は、力が不安定で制御することができず、涙を流しては雨を降らせ、金髪になってしまった髪を元の黒髪に戻すこともできない
学校生活もうまくいかなくなっていってしまう
綾ちゃんはそんな結を必死に守ろうとします
けど、今度は綾ちゃんの身に危険が及ぶ出来事が起こってしまう
自分がいることで周りに迷惑をかけると思った結は、綾ちゃんから静かにゆっくりと離れていこうとするんですね・・・
結が「綾ちゃんのことが好きだ」って思うたびに、結がどんどんきれいになっていき
どんどんきれいになっていく結に綾ちゃんはときめいていく
身体は大きいのに泣き虫の結と、泣き虫の結を非力ながらも守ろうとする綾ちゃんの姿に心つかまれます
一度は別れ離れになるふたりだけど、でも、最後にふたりの後日談が収録されていて、それがとっても幸せなラストなんですよね
エロシーンありの作品となっています
初めて結ばれるときの描写がこれまたきれいで・・・
ほんと、おとぎ話のような美しいお話だったと思います
2作目「ワンダースラムホール」
2作目は、表題作から一転・・・
ちょっと苦くてトリッキーなストーリー
舞台は異国情緒あふれるエキゾチックなアジアっぽい感じの世界
追手から逃げるうちに見知らぬ路地に迷い込んだ男
そこで出会ったあやしげなおじいさんに「一晩だけでいいから匿ってくれ」と頼むのです
おじいさんは「ウサギを一匹買うのなら」と男娼宿へと男を連れていく
男は、男を買う趣味はない。と怒り出すのですが、目の前に現れた美しく怪しい男娼の魅力に誘われるがままベッドを共にし
美しい男にねだられるがまま激しい時間を過ごした男
そして、翌朝、この街を抜け出そうとするのですが・・・・・
これはとても不思議な話で、男は怪しい男を抱きながら、自分が犯した過去の過ちをひどく後悔している
そして、後悔したまま出口がみえないまま・・・どこからが白昼夢で、どこからが現実なのかわからないままENDとなっています
3作目「エアリーブルーに睡れ」
3作目は異父兄弟のお話です
お母さんが海の魔女だったんですが、兄弟そろって水の中で息ができる不思議な力を持っている
だけど、弟は出来のいい兄にコンプレックスを抱き、日本を飛び出して、海外でダイバーをしている
そんな弟の元に兄が母の逝去を伝えに来るというお話
これはね・・・
個人的には「兄弟愛」でENDがよかったかなー・・・
ほろりとくるいいシーンもあるんですけど、最後の最後で、実はお兄ちゃんの方は弟に「恋愛感情を持っている」と投下されちゃうんですよね・・・
んで、描きおろしの方で、弟も兄からの恋心を受け入れているという・・・・
ちょっと、無理やりBL詰め込んじゃった?って感じがする作品でした
海ホタルの感想
まあ、とにかく絵が美しいです
蝶や花。雨や海といった自然界を彩るものたちがそれは美しく描かれています
それに登場人物の気持ちがさらに加わって、とても見ごたえのある一冊に仕上がっています
特に表題作の主人公が、どんどん美しくなっていくのがすばらしかったですね
最後もとっても夢があるラストだったし!
三部作とありますが、ストーリーそのものにリンクしている部分はありません
(描きおろしの方で、ちらっと空港ですれ違う程度の読者サービスはついていました)
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