本日の紹介は、「静寂の月(上)(下)」です!!
あらすじを読んで、ドロドロ関係を経てのハピエンBLと思い読んでみたんですけど、なんか、いきなりなめぐるましい展開の数々に「あれ?これ、下巻から読んでいるのかな?」「前作があるのかな?」と何度も読んでる途中に手を止めて確認してしもうたわ。
上巻の半分くらいで、「どうやら、こういう作風の先生のようだぞ」とようやく受け入れました。
こう、なんていえば伝わるんだろう・・・なんていうか、緩急がない感じで、盛り上がっている感じがずっと続いている感じです。
ストーリー自体は、かなり上手く出来てて、上巻を読んだら続きが気になって、下巻をソッコー、ポチした。
主人公の幹の持つ弟コンプレックスと、健気な笑顔が切ないです・・・・
どんなストーリーか気になった人は、このまま読み進めてくださいね!
目次
作品紹介
「静寂の月(上)(下)」のここが面白い
樹と幹。よく似た兄弟が持つ確執に注目したい
まず、幹と樹はよく似た双子ちゃんなんですよ。ただ、樹の方は、弟ということもあって、幼少時から甘え上手な一面があったようで、兄の幹は樹のためにいろんなことを我慢しなければならない立場だったようです。
そんなふたりに転機が訪れたのは、小学校入学前のこと。
母方の実家に養子にどちらかが行くことになるのです。
はっきり嫌だと泣ける弟樹と比べ、幹は、弟樹が先に泣き出したことで「嫌だ」と言えなくなってしまい、子供なのに我慢をして養子になることにしたのです。
しかし、弟樹が、みんなに愛される天才であることが成長することで判明してくる。
それが原因かわかりませんが、幹を養子にした母方の実家は、幹と弟樹の交換を言い出し、幹は、弟樹と実親が住む家へと戻ることになるんです。
そして、今度は、弟樹と同じ学校に通うことになって、まざまざと樹との能力の差を見せつけられることになる。
もう、このあたりでは、幹は、弟樹への憎しみと劣等感でいっぱいになっているんですが、実親に愛され育った樹の方は、世界で一番好きなのは兄だと天使のような笑顔で幹をすごく慕ってくれているんですよね。
養子に行った家から必要ない子として突き返され、全世界は弟の樹だけを必要としていると自分の存在価値を見失った幹の前に現れたのが喬木さんという7つも年上の大学院生。喬木は、出会ったばかりの幹に猛烈にアプローチしてきて、おつきあいすることになるのです。
そして、自分の価値などないと空っぽで虚無感に苛まれていた幹は、喬木に優しく愛されたおかげで笑顔を取り戻し、喬木のことをこの上なく愛し始めるんです。
樹と喬木が持つ過去の秘密
幹には、人気者で明るい弟樹と繋がりたくて近づいてきた人間が過去に多くいたようで、大好きな喬木さんも、自分より弟樹を選ぶかもしれないという不安を常に抱えているんですね・・・
喬木が、幹のいる高校に臨時採用の教師として赴任してくることになり、不安を抱えながらも、喬木と樹と引き合わせるんですが、どちらも、幹の前で初対面のようにふるまうんです。
しかし!!
実は、喬木は、樹が中学生時代に家庭教師をしていた過去があり、そして、その時、手を出してこっぴどく振られているんです。
それを友人(島崎くん)づてに知った幹は、喬木さんの本命は樹じゃないのか?という猜疑心でグラグラ揺れ出します。
そして、幹のいないところで、「幹を傷つけるな!」と喬木に言う弟樹
その樹に悪い顔しながら「お子様なお前と違って従順な人形が手に入ったから」と答える喬木・・・
(ヒョエーーーーー!!ヒドイ!!)
喬木の大本命は弟樹で、よく似た代用品として幹とつきあっているんですね。
「樹と同じ顔、体を持って俺を好きと言ってくれる子だ」
(ヒョエーーー!!ゲスすぎる!!)
そんな喬木の身勝手さに弟樹は怒りをぶつけるんですが、この後、あっさり、喬木と一線を超える行為に及ぼうとするんですね・・・
(は・・・話の展開の早さについていけない!!!)
上巻では、喬木さんがほんとに悪いゲス男で、幹のことを器としてしか愛してないんですよ。
本物は手にはいらないけど、よく似た代用品が手に入ったってセリフの数々が、マジで、ゲスすぎる!!
そんなゲスの喬木を信じ、笑顔を向けていた幹ですが、喬木と弟樹の不貞を知り、身を引くんです。
幹の持つ強烈な樹へのコンプレックスからの痛い過去
幹があっさりと身を引いたのは、自分が樹の代用品として喬木に愛されているという予感があったからなんですね。
(そういうほころびに気づきながら、喬木に笑顔を向けていたと思うとほんと切ない・・・)
けれど、喬木の方は、大本命の樹と肌を重ねることで、ようやく、幹と樹が別の人間だと気づくんです。
幹の持つやさしさや健気さは幹だけのものだと、自分がしてきたことを後悔するんですね。
そして、幹を手放せないと、追いかけて、すがって、そして、無理やり抱いてでも自分の側に置こうとする。
(いや・・・無理矢理はイカンやろ・・・)
幹から、罵られても側から離れず、信用を取り戻そうと必死にがんばるんです。
(むっちゃ、昼ドラや~!!)
この流れで行くと、ゲスで身勝手な攻めに振り回される健気な受けという構図になるんですけど、この後、幹の樹への強烈なコンプレックスからしでかしたこの上なく痛く悲しい過去が明るみになります。
実は、幹は、この誰にも言えない秘密を抱えているがゆえ、「喬木さんと自分はふさわしくない」と身を引いたんですね・・・
実は、わたしは、この幹のいびつで歪んだ過去は、ちょっと引いた・・・
読み返したら、上巻から、布石が積んであったんですけど、それでも、幹の持つ健気で一途なかわいい笑顔とイメージがかけ離れすぎてて、「これはない!!」と思ってしまった・・・
でも、よくよく考えると、幹は喬木と出会って、大きく変わったってことなのかな?
幹の持つ弟樹へのコンプレックスの根深さを思うと、喬木と出会う前は、こんな風に健気にかわいく笑うこともなかったのかも・・・
そう思うと、幹は、喬木と出会えて、やっぱり、よかったんですよね・・・
ちょっと切なくなりますよね・・・
まとめ
展開が早くって、1巻を読んだら最後、2巻を読まずにいられなくなる作品です。
喬木さんはゲスいし、弟へのコンプレックスと大人の身勝手さの被害者に見えた健気な幹もとんでもない過去を隠してるし、弟樹は、兄の気を引きたくて兄の好きな人と一線を越えようとするし・・・・
三者三様に、本当に、いろいろヒドイ・・・
とにかく、昼ドラ真っ青のジェットコースター展開です!!
そもそも、このストーリーを2冊でまとめようとするのが、無理があったんではないだろうか・・・
最後の最後は、一度、手放した幹を、再び側に置くことが出来た喬木さんのデレっぷりな彼氏ぶりが見れます。
喬木さんは、若い頃はやんちゃをやったけど、好きな人に出会えて変わることができたっていう典型ですかね?
わたしが好きなのは、下巻の中盤からの喬木が、樹のことを追いかけだすあたりからラストまでですね。
ゲス男が好きな人の信用を取り戻そうと必死になるって姿がもともと好きなので・・・
読み応えが合ったし、わたしは、満足なBLコミックでした。
あと、幹の友人の島崎がとってもよかったですね!!この3人を引っ掻き回した本人そのものなんですけど・・・。脇とは思えない存在感でした!!
上巻にある各キャラクターの設定が、なかなかおもしろいです。
それと、重要なのは、エロですよね!!喬木さんは、臨時採用の教師として赴任していますが、学校でいろいろ幹に手を出しまくっています!!ヒッジョーにけしからん大人です!!笑!!
本日は、かなりネタバレ多めで記事を書かせていただいたんですけど、私が思うに、この作品は、ある程度の予備知識があって読んだほうが面白さが増すと思います。
そのほうが、登場人物たちの感情の揺れ動きにウエイトを置いて読めるから!!
話のストーリー展開の早さは、かなり、ついていくのが大変!!
でも、三者三様が持つ身勝手さと孤独。相手の暗闇も抱え込む愛情の深さや、秘密を抱える苦しさをじっくり味わってほしいと思える作品です。
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