こんにちは!海ホタルです
麻生ミツ晃先生の「リバース」は、BLアワードの「ディープ部門」で1位だったんですね~!
確かに、「リバース」は、ふたつのストーリーが同時進行し、サスペンス要素もあり、とても面白い作品でした!
しかし「リバース」のようなハラハラさを求めてこちらの作品を読むと、けっこう、肩透かし感があるのではないかと思います
カバーをめくった筆者さまの一言スペースには「ゆっくり優しく進む。柔らかいお話をめざしました。」とありますが、ほんと、そういう感じ!
胸をえぐるような激しい劣情ではなくて・・・心が震えるような柔らかな恋を楽しむBLです
では、どういうお話なのか?
麻生ミツ晃先生の新刊と言うことで、気になっている方も多いと思うので、紹介をしたいと思います
目次
作品紹介
[五十鈴 歩、29歳、投資家]
重度の感音性難聴だが、それ故に人よりも自立しなければという意識が強く、人に甘えることに不器用。[壬生十嘉、19歳、バイオリニスト]
才能はあるが、群れない性格と異質な演奏スタイルから大学では孤立し、疎まれている。音を知らない五十鈴と音を奏でる十嘉、偶然出会った二人は、互いに“無いもの”を楽しむかのように距離を縮めていく。五十鈴に惹かれている自分に気づいた十嘉は、臆することなく真っすぐ感情をぶつけるが、そんな十嘉に五十鈴は戸惑うばかりで…?
話題作『リバース』の麻生ミツ晃による、心震わす至高のラブストーリー
「世界でいちばん遠い恋」のここが面白い
あらすじはこんな感じ
小さな離島で生まれたトウカ(壬生十嘉、19歳、音大生、バイオリニスト)
幼いころに、島に来ていた楽団の演奏を聞き、バイオリンに興味を持ち、CDや動画を通して独学でバイオリンを覚えた
両親の勧めで高校三年生の時に音楽コンクールに出たトウカ
トウカの譜面を重視しない粗削りなバイオリンは、審査員たちに衝撃を与え賛否を生む
順位こそ最下位だったが、トウカは音大の特待生制度のチケットを手に入れた
バイオリンしかなかったトウカは、大学に入り、バイオリンを習うことになるが、ここで、壁にぶち当たる
今まで好き勝手に音楽を奏でてきたトウカには、自分の中にある音楽を客観的に観客に伝えるということがわからない
先生からの厳しいレッスンに、バイオリンをやっている意味がわからなくなり心荒んでいくトウカ・・・
そんな時・・・10歳年上の難聴の青年・五十鈴歩と出会うのです!!
難聴である五十鈴はトウカの話を、いつも真剣な表情で見てくる
島からひとりで東京へやってきて、周囲の勝手な期待と嫉妬に疲れていたトウカは、自分の言いたいことがちゃんと伝わっているという感覚に感動をする
そして、喋らない五十鈴と過ごす時間はとても静かで・・・心地いい・・・
心荒んでいたトウカは五十鈴との出会いで変わっていく
聞こえない分、コミュニケーションにハンディを抱えた五十鈴は、自分の気持ちを伝えるため、とても表情豊か
そんな五十鈴を見て、「自分の中にある感情(音楽)を誰かに伝える大事さ」に気づくトウカ
トウカの音楽は変化しだし、同時に、五十鈴のいる世界を理解したいと思い始めるのです
表情から読み取る二人の心情に胸がキュン
難聴の五十鈴は声を出すことはありません
五十鈴は、筆記と表情でトウカに気持ちを伝えていきます
その世界は、まるでサイレント映画のように、目を離したら大事なものを見落としてしまうような不思議な感覚に陥ります
それはトウカも一緒みたいで・・・
五十鈴のいる世界に近づけるようすごいがんばっている
そんなトウカに五十鈴も心を許し始める部分が、ほんとうにゆっくりとスローに・・・丁寧に描かれていて・・・
仕草や、目線・・・表情といったものから二人の心情の変化を読み取っていくのがすごくよかったです
五十鈴が、トウカのことを意識し始めて、初めて歳の差を気にするところとか!
心情の変化がよくわかりますよね~!
大きな山場はないのですが!
でも、いい耳を持ったがゆえに大事なことが見えないトウカと、耳が聞こえないからこそ、聞こえない部分を見ようとする五十鈴
ほんと、読んでて、まさに「世界で一番遠い場所にいるふたり」だと思いました
ふたりの距離感の変化を楽しんでほしい作品となっています
エロシーンはあるの?ないの?
1巻の時点はくっついていません
ですので、エロシーンもないです・・・
次巻に期待って感じですね!
海ホタルの感想まとめ
連載中・・・すごく楽しみにして読んでいた作品なので、電子配信と同時に読みました
でも・・・1巻を読んでみて、わたしが思った本音は・・・
「これは、次巻が出てから読んだ方がいいかもしれない・・・」
一番遠い場所にいるふたりが、徐々に距離を近づけていく展開は本当にすばらしい!!!!
でも・・・
起承転結の「ほぼ起」の部分で「続く」となっているので・・・
読み切った!って達成感は薄かったです・・・!
ただ・・・わたしは、すでに連載を読んでいて展開を知っているからそう感じた可能性も・・・!
もしかして、最後の最後に訪れた五十鈴の変化に「期待が高鳴る」方もいるかもしれませんし・・・!
今後、神作品になる予感にドキドキした方とかもいると思います!
麻生ミツ晃先生の持つ空気感はほんとすごい!
まるで、息遣いがきこえてきそうな二人の距離感に注目してほしい作品!