2008年から連載スタートをした「憂鬱な朝」がついに完結を迎えました!!!!
この作品は、BLにはまった当時(およそ3年前です)、口コミ評価の高さから比較的早い段階で読んだ作品です
同時に手に入れた「花は咲くか」にはソッコー、ドハマリしたんですが、「憂鬱な朝」は明治時代の家族社会の複雑さを読み解くのに必死で・・・
「公爵?」「子爵?」「爵位の陞爵???」と、読み進めるのにヒッジョーに頭を使った作品です
ふたりの気持ちが通じ合い始めた3巻くらいからガーーーーーッとのめり込み・・・・
ふたりがなぜこんな状況になるのかいまいちわからん?となった5巻の夜会シーンでは頭を悩ませ・・・
紙にふたりの状況を整理しながら必死に読み進めました
そういう感じでワタシにとっては読解が大変だった分、思い入れが大変ある作品なのです
それゆえ、「完結してすっきりした」というよりも、「終わってさびしい」という気持ちが勝った作品でした
とても重厚で真面目な読み応えのあるBLコミックです
本日は、1巻から主人公ふたりの恋の成長を振り返りたいと思います
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「憂鬱な朝」を1巻から振り返る
1巻!年の差11歳!美しい年上の執事への恋心をこじらせる若き当主
試し読みを読んでいただいたらわかると思いますが、このかわいらしい10歳の男の子の成長を綴った物語です
母親が身体が弱かったことから鎌倉の別邸で育てられた暁人さま
父親も亡くなり10歳にして子爵家である久世家当主になってしまう
父親が暁人に残したのは11歳年上の家令の桂木
見目麗しくクールで冷淡な桂木は、頭がキレ、目的のためになら枕営業も平気でやる非情な男でしたが、暁人は、桂木に冷たくされればされるほど、彼に認められたくて必死になります
けれど、暁人がどんなにがんばれど桂木の目は暁人に冷たくて・・・
同時に、先進的考えを持つ暁人には桂木が持つ爵位へのこだわりが理解できない
暁人の父・直継の考えが大きく桂木に影響を与えているのか?と悩む暁人
そして、桂木への恋心をつのらせ、「いつか桂木に爵位を譲る」ことを条件に桂木と身体を重ねることを叶えるのです
桂木とムリヤリ関係を持った後の暁人のつらい想いが本当に切なく描かれている1巻
若さゆえの強引さで好きな人を組み伏せたのに、自分が子供の頃から思い描いていた理想との違いに苦しむこととなる
ここからどんなに思いを綴っても心が手に入らない美しい家令・桂木にひたすら尽くす暁人の苦悩が始まるのです
2巻!好きな人と一緒にいるために見合いをする若き当主!
若き当主とその家令のヒミツの身体の関係は続きます
けれど、暁人さまは爵位を桂木に譲る約束をした手前、この久世家にさらなる繁栄をもたらさなければなりません
そのために桂木が用意したのは、公爵家令嬢との婚約
好きな人に自分の結婚話を用意されるほどつらいことはありません
けれど、ここで桂木の考えに従わなければ、セフレ関係も終わってしまう
心は桂木にありながらも、桂木の持って生きた見合い話にのらなければならない立場の暁人さま
同時に2巻で出てくるのは、桂木の出生のヒミツです
もともと桂木は、久世の分家である桂木家の末っ子(母親が久世本家の出身)
なかなか子どもができなかった久世暁直子爵(暁人の父)は血にこだわる人間でした
だから、分家から久世家の血を持つ桂木を引き取り、自分の跡継ぎにしようとしたのです
しかし暁人が生まれたことで桂木の運命は大きく変わります
それだけでなく・・・・
実は桂木は久世家の血を一切継いでいない可能性を匂わせる2巻なのです
3巻!冷淡な桂木の心が大きく動く?!矛盾していく心!
桂木とどこまでも共にいたいがため暁人は頭をフル回転させ、そして、どんどん成長していきますそこまで深く熱い愛情をぶつけられ心が動かない人間などいるはずもありません
冷淡な桂木の心も徐々に暁人さまの熱意に動かされていきます
3巻では幼少時代の桂木と久世暁直との会話がとても印象的
子どもながらに自分を引き取ってくれた父を絶望させないように必死に努力をした桂木
桂木の土台部分はすべて暁直によって形成されたものなんですね
なのに、暁人が生まれたことで、暁直の愛情を奪われたことに嫉妬心をいだきます
そんな思いを抱きつつ暁直の死後、暁人さまを育てた桂木
そこには桂木なりに、自分のすべてを奪った暁人からすべてを奪い返すシナリオまでがあったんです
それなのに「桂木に子供の頃教えてもらったこと全部・・・今ならすごく大切だってわかるんだ」という暁人さま
同じ景色を見ても、真っ直ぐでしなやかな考えを持つ暁人さまの考えは、桂木の恨みもすべて溶かしていく
なのに・・・ここで暁人さまが桂木の出生のヒミツを知ってしまう
自分が大好きな桂木にとって恨みの対象でしかなかったことを思い知る暁人
すれ違うふたりの心がひたすらつらい巻なのです
4巻!すれ違ってしまったふたりはついに離れて・・・
桂木は久世の家を出ていき・・・
暁人も桂木の出生のヒミツを知ったがゆえに、爵位を桂木に譲るため算段を練り始めます
いつか自分が爵位をすて庶民に戻る日のために、庶民の生活を勉強すると久世の家を出る暁人さま
そして、桂木の持ってきた見合い話も白紙に戻してしまいます
それを知った桂木はもちろん暁人の元へとかけつけます
この時点で、まだ桂木には暁人さまを思う気持ちを受け入れることができない迷いがある
だけど、暁人さまの姿を見ただけで、迷っていた心がまっすぐに暁人に向かうのです
初めて桂木に求められて戸惑う暁人さまの表情がとてもドキドキします
そして、自分で求めながらも頭の何処かで暁人さまに翻弄される自分を受け入れられない桂木の戸惑いがものすごくいい巻なのです
ようやく想いが通じ合った暁人と桂木
しかし・・・ふたりの前に立ちはだかるのは、「爵位」問題
5巻!相手が好きなゆえに騙し騙されするふたり・・・すれ違い続けて・・・
想いが通じ合っても当主と家令
しかも桂木は実は出生に大きなヒミツを持っている
暁人はそんな桂木に爵位を譲るため自分の後見人を脅迫するという無茶をしてします
自分より相手を優先し合うふたりは共に裏で画策をし始めるのがこの巻なのです
一冊まるっと夜会シーン
お互いのためにと嘘をつきつづけるふたり
暁人さまの親友である石崎に「お前たちは矛盾の塊だな。言っていることとやっていることがバラバラなんだよ」と言われますが、まさにそういうもどかしさや歯がゆさを胸に感じる巻です
好きなはずなのに・・・相手にとってよかれなことと思い先走ってしまうふたりの想いがほんとつらかった
でも、そんな辛さの中でも、イチャイチャするふたりの絵面に癒やされてしまう・・・・
6巻!新しい道へとあるき始める二人・・・
すべてを変えてしまった夜会が開け、暁人さまは仮病で隠居することになってしまう
暁人さまの画策に負けてしまった桂木
桂木は石橋家の番頭として忙しく駆け回り、石崎家当主の命令を無視し、どんどん改革を進めていきます
忙しければ忙しいほど暁人様のことを考えずに済むと思っている桂木ですが、暁人は桂木がいない間にどんどん久世家を変えていく
桂木が気づいたときには久世家の使用人はみんないなくなっていて・・・再びいがみ合うふたり
気持ちはお互いにあるのに、どこまでも根本的考えが違うふたりにハラハラする巻です
でも、どんなに意見が違っても、暁人さまは「僕たちはこういうふうにしか生きれない。だからこそこれだけははっきりさせておきたいんだ。僕がこの手を離すわけないだろ」と強く言ってくれるのです
暁人さまの柔軟で真っ直ぐな気持ちはいつだって桂木の隠している本心をむき出しにしちゃいます
濃厚に絡み合うふたりの逢瀬では桂木もすごく積極的になってくれて・・・・
桂木が暁人さまを求める姿にキュンキュンする巻なのです
7巻!まるでお仕事BL?そんな中でも読者サービスはバッチリ!
様々な迷いを経てたどり着いた「家」や立場がないふたりの関係
桂木は事業の改革を独断で進めたことを石橋家当主にバレて石橋家番頭の座を降ろされます
けれど、桂木としてはここまで来て、面倒を見てきた工員たちを見捨てることもできず、桂木の実家を頼る
7巻の桂木はお仕事する姿が多いです
そして、その頃の暁人さまは、渡米する前に桂木の出生のヒミツを明らかにしようとします
お互いがお互いのやるべきことに向き合う巻となっています
ふたりのイチャコラは最後の最後で訪れます
朝になるといつも先に起きてどこかへと言ってしまう桂木に不満をぶつける暁人さま
「そんなに不安だと言うのなら、ワタシを朝まで寝かせなければいいでしょう」と答える桂木
どっちのマウントのほうが上なのかわからないエチシーンはほんと素敵です
8巻!ようやく対等になれたふたり・・・大円満のラスト
1巻の表紙と同じ椅子・・・
だけど、1巻では目も合わせていなかったふたりが、花から解き放たれ対等に見つめ合う表紙がなんとも印象深い最終巻です
8巻では2年間渡米することとなった暁人さまと離れ離れになる寂しさを言葉にする桂木がとても印象的です
暁人様は、そんな桂木にお揃いの銀時計を贈ります
「何でもいいから揃いのものが欲しかったんだ。これから同時に古くなっていくものが」という暁人さまがステキすぎる
そして、英国留学に桂木にもついてきてほしいと旅券も一緒に渡すのです
「ワタシも共に在りたいと思いました。二年は長すぎますから・・・」と受け取る桂木の姿が・・・なんともじーんとくる
暁人さまだけでなく桂木も大きく成長しているんですよね!
最後は、1巻のはじまりの戻ったかのようなラストです
でも、そこにあるのは、1巻の頃のようなふたりの関係ではなく、長い年月をかけ、いろんな制約を乗り越え対等になったふたりが寄り添う姿
横に並んで歩くなどとんでもない。と言っていた桂木と横になって歩き手と手を握りあい、笑い合うふたりの姿にじーん・・・ときます
まとめ
個人的には、桂木と暁直の関係もすごく好きですね
暁直・・・先見の明を持っているのに血と爵位にものすごくこだわる人でした
桂木の出生のヒミツを知り、桂木に冷たくなりましたが、きっと後悔していたんじゃないかな?
それでも、桂木の中で暁直の教えが生きていて・・・そして、暁人の中では桂木の教えが生きている
きっと将来、暁人さまは今以上に暁直にそっくりになっていくんじゃないでしょうか?
それを考えると、わたしの中で「シーズン2」の妄想が勝手に膨らんじゃいます
ちなみに1巻の冒頭シーン・・・桂木はいくつなんだろう?って思いません?
この時、桂木は21歳!
現代に置き換えると、大学生なんですよね!
10歳の暁人様は現代に置き換えると、小学4年生か5年生くらい?
まさか、こんな小さい子どもが将来自分を組み引くとは考えもしなかったでしょうねー!
1巻から読み返すと変わっていく桂木の姿が本当に素敵です
もちろん成長していく暁人さまにもキュンキュンするし、エロシーンは1巻と8巻では甘さが全然違います
結局、タイトルの「憂鬱な朝」というのは桂木の姿がない朝ってことって解釈でいいのかな?
8巻で初めて朝起きて横に桂木が眠っている姿に暁人さま目を大きく見開いています
いやいや・・・ほんと、生きている間にこんなすばらしい作品が読めたことに感謝です
いつまでも見ていたかったふたりなので・・・本当に最後というのがさびしいんですが・・・・
数々の感動をありがとうございました
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暁人さまの久世家は子爵家。爵位から見ると下のほうなんですね。
暁人の父・直継は、この爵位をあげることに必死だった方で、桂木もその考えを受け継いているのです