大人になってからの恋は、どうしてこんなにも胸の奥が痛むんだろう。
無鉄砲に突っ走ることもできず、ただ「見ているだけ」で終わってしまった——
そんな経験をした大人は、きっとこの世に星の数ほどいるはず。
この作品の主人公の望田くんも、そんな臆病さと優しさを同時に抱えた23歳の青年です。
彼は、電車で困っている人を見かけて、助けたいと思うのに声をかけられない。
優しさと臆病さを同時に抱えた、どこにでもいそうな青年です。
しかし、恋の熱も知らずに社会人になった彼が、同じ事務所の所長・桐生さんと出会い、初めて「人を好きになる」苦しさを味わいます。
自分がゲイであると気づいた瞬間の戸惑い。
しかも相手はノンケで、自分とはまるで違う世界の人。
恋の始まりと同時に、絶望が始まる——。
それでも、望田くんの中に生まれた気持ちは、ゆっくりと形を変えながら、静かに成長していきます。
木下けい子先生が描くこの作品は、派手な展開こそありません。
けれど、望田くんの一つひとつの眼差し、沈黙、仕草が、まるで“心の声”のように響いてくる。
読後に残るのは、痛みでも涙でもなく、「ああ、これが恋なんだ」という温かな実感。
そんな余韻をじっくり味わいたい方におすすめしたい作品です。
💡この記事を読めばわかること
- 望田くんと桐生さん、ふたりの関係の始まり
- 木下けい子先生が描く“静かな恋”の魅力
- 小悪魔男子・安立くん登場で揺れる三角模様
- 読後に残る“優しくて苦しい”余韻の正体
作品紹介
あらすじ
こんな気持ち 誰にも知られたくない
桐生税理士事務所の新人所員の望田斗亜は、
所長の桐生に密かに憧れていた。
以前、夜の電車で酔っ払いに絡まれて困っている女性を、
桐生が物腰柔らかに助けるところを見たのだ。
助けたいと思いつつ、動けない自分を後ろめたく思いながら。
言いたいことを我慢しがちな望田に、
桐生はいつでもさりげなく手を差し伸べ、フォローしてくれる。
その度に望田は彼に惹かれるようになって――!?
登場人物



【桐生さん】
・桐生税理士事務所の所長
・30代
・ノンケ
・落ち着いた大人の男性
・気遣い上手で頼れる存在
・視野が広い



【望田斗亜】
・桐生税理士事務所の新卒所員
・23歳
・素直で内気
・真面目で一途
・優しさの芯がある



現在も連載が進行中で、ふたりの関係が少しずつ変化していく過程をリアルタイムで追えるのも、この作品の大きな魅力です。
「望田くんは恋をしている」のここが面白い
木下けい子先生の真骨頂――“心の声を描く”柔らかさと力強さ
『望田くんは恋をしている』は、社会人同士の静かな恋の物語です。
主人公の望田くんは、他人を思いやる優しさを持ちながらも、一歩踏み出す勇気がなかなか出せない青年。
そんな彼が出会ったのは、同じ事務所の所長・桐生さん。
彼は、落ち着いた大人の男性で、電車の中で酔っ払いに絡まれて困っている女性を、穏やかな声で「大丈夫ですか」と助け舟を出した。
強く声を張らず、誰も傷つけずにその場をおさめる。
その姿は、ただ“かっこいい”だけではなく、本当の意味で大人の優しさに満ちていた。
「自分もあんなふうに、誰かを助けられたら——」
その夜から、望田くんの中に小さな火が灯り始める。
そしてその人が、まさか後に勤めることになる事務所の所長だとは、まだ知らなかった——。
ある日の事務所での何気ない会話。
所長の桐生がふと「望田くん、目がきれいだよね」と言った瞬間――。
周囲が冗談交じりに「それセクハラですよ!」と笑う中、
桐生は真っ直ぐ望田の目を見て「本当に、キラキラって音がしそう」と続ける。
その瞬間、望田くんの胸の奥が静かに鳴る。
文字では描かれない「ドキドキ」が、読者には確かに伝わる。
この沈黙の中の感情描写こそ、木下けい子先生の真骨頂。
ふとしたきっかけで芽生えてしまった想いは、止めようとしても止まらない。
けれどその恋は叶わないもの——。
“ノンケの上司を好きになってしまった”という現実の前で、望田くんは自分の中の「恋」と「自己否定」の間を揺れ動き続けます。



この作品には、激しいドラマや大きな事件は起きません。
けれど、日常のひとコマひとコマが、まるで心の奥を照らす光のように描かれています。
一瞬の視線、少しの間(ま)、沈黙のあとに訪れる微かな変化——。
それが、木下けい子先生ならではの“静かなドラマ”なのです。
“大人の初恋”が持つ静かな熱
若さゆえの勢いではなく、大人だからこそ踏み出せない望田くん。
そんな中、登場したのが小悪魔系男子の安立くん。
天真爛漫で、人懐っこくて、悪気なく人を翻弄するタイプ。
ある日、安立くんに上から目線できつい言葉を投げかけられて落ち込む望田くん。
そんな彼をよそに、桐生は笑いながら「(安立くんの)あの大きいキラキラした目でお願いされたら、なんでも聞いちゃうな」と言ってしまう。
――その「キラキラ」は、かつて自分だけが言われた“特別な言葉”。
だからこそ、他の人に使われた瞬間、望田くんの心は深く傷つくんです。
好きという気持ちは、
ほんのささいな一言で強くもなり、同じように、簡単に折れてしまうこともある。
この繊細な緩急が、『望田くんは恋をしている』の醍醐味です。
人のいい望田くんは、小悪魔な安立くんに勝てるのか?
読者は、ハラハラしながら見守らずにはいられません。
苦しさと優しさが共存する世界観
この作品の魅力は、“苦しいのにあたたかい”という不思議な読後感。
望田くんは自分を責めながらも、相手を思いやる気持ちを失わない。
恋は報われないかもしれない——それでも、誰かを大切に想うことの尊さが滲んでいます。
実際に読んだ人の感想にも、こんな声が多く見られます。
「苦しい、でも何度も読んでしまう」
「切ないのに、読後は不思議とあたたかい」「静かに胸を締めつけられるのに、気づけば優しい気持ちになっている」
読後に残るこの“静かな熱”こそ、『望田くんは恋をしている』という作品の真価。
木下けい子先生の筆が、“恋のかたち”をそっと教えてくれます。
この作品が気になった方は、まずは試し読みからチェックしてください。
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